福が集まる「福の木」と
福を願う「福の石」
さわさわ、さわさわ・・・。そよ風が抜ける時、背を伸ばしたフクギの葉が歌います。緑のカーテンから光の玉がこぼれる八重瀬の午後。400年以上もこの地に根づき、かつては屋敷の防風林だったフクギ並木は、今でもその堂々たる姿を変えることはありません。福が集まる「福の木」。周りに住む人々は親しみを込めてこう呼びます。
まだフクギが個人のものだった頃、根元の石垣の一つに、人の顔に似た石がありました。誰かを見守るかのように佇む石に不思議な力を感じたのか、石の前を通る人々は福を願いこの石を撫でて過ぎたそうです。福を願ういくつもの手で、いつの間にか滑らかな表面となった福の石。今でも残るその石の、どこかおどけたような顔は、何人もの祈りに耳を澄ましてきた事でしょう。