八重瀬岳
CHAPTER 8

夜のしじまを見守るは、月か、星か、菊の陽か。

What watches quiet of the night?
The moon,stars or shine of chrysanthemum?

八重瀬岳

八重瀬岳

八重瀬岳から見える電照菊の光は、冬の限られた時間だけの特別な風景。花を咲かせるために強い光をあてられた菊畑は、クリスマスのイルミネーションのように八重瀬の夜を照らします。

外は虫の声だけが鳴り響く
静寂の世界。

八重瀬の静かな夜道を車で走らせると、街灯のない道でもほんのり周りが明るいことに気がつきます。そっと路肩に車を停めて外へ出ると、虫の声だけが鳴り響く静寂の世界。そして、ヘッドライトをつけている時にはわからなかった、大きな月の間接照明。ふと足元を見ると、その光が思いのほかはっきりとした影を作っていました。いつもの見慣れた夜はなんだったんだろう。街の明かりを思い出し辺りを見渡すと、きび畑の向こう側から漏れる橙色の帯。きっとあの辺かな。その方角を確かめようと、うっすらと照らされる八重瀬岳に登りました。

白の月、瞬く星、菊の陽が、
替わりばんこで見守る八重瀬の夜

その頃には八重瀬の風が雲を流し、再び闇が覆う時へ。家々の面影が少し恋しくなり、小高い丘からさっきの方角を眺めてみると、規則正しく並んだ光の粒が、綺麗な長方形を形どっていたのです。橙色の正体は、街ではなく電照菊のイルミネーション。闇に漂う地上の一等星は、雲のすきまからわずかに溢れた星よりも、煌々と輝いていました。
白の月、瞬く星、菊の陽が、替わりばんこで見守る八重瀬の夜。いつの間にか雲を抜けた月が、こっちを眺めています。自ら輝ける小さな光が、少しうらやましいかのように。

ACCESS

所在地:〒901-0402 沖縄県島尻郡八重瀬町字富盛1607

無料 見学自由 駐車場あり

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