富盛の石彫大獅子
CHAPTER 1

この場所で、星を眺めてきた。

In this place,
The starry sky we've been watching.

富盛の石彫大獅子

富盛の石彫大獅子

八重瀬町に沖縄県最大・最古といわれる石獅子があります。火除けのため、フィーザン(火山)といわれる八重瀬岳に向いて座る石獅子。3世紀に渡り、ここで何を見続けてきたのでしょうか。

静寂が覆う勢理城。
この丘に、今日もまた光と闇が訪れました

静寂が覆う勢理城。この丘に、今日もまた光と闇が訪れました。東の海から射した陽の矛先は、一瞬にして闇を切り裂き、天空に蒼い命を吹きこみます。全てを温め育んだ陽は、自らを水平線に溶かし、何事もなかったかのように紅を残して去りました。深く冷たく鎮座する闇の中、涙のように残された無数の星屑たち。再び光の訪れを待つかのように、大きな二つの眼が闇を仰ぎます。太く重く揃えた脚、まっすぐに伸ばした背筋、わずかに強張った顔。火の災いに悩まされた村人により、守護神として彫られた富盛の石彫大獅子は、人々の不安や恐れを一身に背負って火の性の方角を見据えてきました。

彼の背中に刻まれた、
星の数ほどの弾痕が物語る

そして、八重瀬が火の海と化した激動の時代にも、その勇む姿を変えることなく村の平和を守ってきたのです。彼の背中に刻まれた、星の数ほどの弾痕が物語るかのように。彼は知っていたのです。どんな闇が包んでも、一つの小さな輝きが現れる時、それはやがて大きな光を運んでくれることを。この場所で星を眺め、この場所で希望の光を待ち望んだ富盛の石彫大獅子。瞬いた星たちが、今日もまた新しい暁を迎えます。淡い光を横目に、大獅子の堅い口元が少しだけ微笑みました。

ACCESS

所在地:〒901-0402 沖縄県島尻郡八重瀬町富盛22

無料 見学自由 駐車場あり

INFO