その情景は
見る者に悠久の時を思わせてくれる
長い年月をかけて、少しずつ姿形を変えていく自然。その情景は見る者に悠久の時を思わせてくれます。まるで深呼吸するかのようにぽっかりと空いた大きな口。険しさをあらわにして垂れ下がる岩の柱。わずかな石の隙間から自らを主張する草木。その下を静かに流れる白水川のせせらぎとは対照的に、まるで生き物の息吹さえを感じさせるハナンダー。
かつて闇を飲みこむ洞窟だったハナンダーは、途方もない時間をかけて浸食され、残された今の姿を見せてくれます。荒々しくむき出した牙の上を歩けば、可愛らしく揺れるセンダンギクが笑っていました。牛の鼻輪を思わせる形からそう呼ばれ、昔から自然橋の役目を担ってきたハナンダーは、白模様の花かざりをまとい、住民や旅人を幾度となく渡してきたことでしょう。家路につく人、畑に向かう人、夕暮れに涼む人。先人たちが眺めてきたこの橋の風景を、今日も誰かが眺めていきます。