静寂が覆う勢理城。
この丘に、今日もまた光と闇が訪れました
静寂が覆う勢理城。この丘に、今日もまた光と闇が訪れました。東の海から射した陽の矛先は、一瞬にして闇を切り裂き、天空に蒼い命を吹きこみます。全てを温め育んだ陽は、自らを水平線に溶かし、何事もなかったかのように紅を残して去りました。深く冷たく鎮座する闇の中、涙のように残された無数の星屑たち。再び光の訪れを待つかのように、大きな二つの眼が闇を仰ぎます。太く重く揃えた脚、まっすぐに伸ばした背筋、わずかに強張った顔。火の災いに悩まされた村人により、守護神として彫られた富盛の石彫大獅子は、人々の不安や恐れを一身に背負って火の性の方角を見据えてきました。