公開日 2012年03月08日
1.背景
今日のわが国の社会情勢は、少子高齢化に歯止めがかからない状況の中、経済成長が低迷し、国、地方公共団体ともに財政状況が大変逼迫している。国においては「三位一体の改革」によって地方への補助金削減、地方交付税の削減等がなされております。
本町においては、その影響もあり、従来にも増して厳しい財政状況の中で行政運営を余儀なくされております。このような状況の中で「第1次八重瀬町行政改革大綱」が平成18年10月に策定され、この中で「将来の児童数の推移、保護者の意向等を十分調査の上、公立保育所の廃止、統合、民営化等の検討を進めていただきたい。」と行財政推進委員会から答申が出されております。
また、より一層の行政改革を推し進めるための「八重瀬町集中改革プラン」が平成18年12月に策定されました。その中において、町立保育所6園のうち「北保育所及び安里保育所を平成20年度に民営化する」「あずま保育所、国道拡張による立ち退きに伴い統廃合」「みなみ保育所、民営化に向けて検討する」と平成21年度までの取組目標が掲げられております。
2.目的
共働き家庭が一般化している現代において、子育て支援の柱である保育行政の充実は大変重要でありますが、今後ますます多様化する保育ニーズに柔軟かつ迅速に対応していくためには、公立保育所・民間保育所のそれぞれの特色を活かしながら、民間の力を今以上に活用していく必要があります。
この基本方針は、八重瀬町における保育サービスの拡充を目的とし町立保育所の民営化を円滑に進めていくために定めたものです。
3.現状
(1)町立保育所の設置運営状況(平成20年4月現在)
町立保育所は、あずま保育所・みなみ保育所・中央保育所・新城保育所の4園です。総定員数は270人で、平成20年4月1日現在入所児童数は250人です。法人保育所入所希望者が多く、2カ所の公立保育所で定員割れが生じております。
どの保育所においても国が定めた保育指針に基づき発達年齢に応じて計画的に保育を実施しております。また、地域活動や障害児保育等も実施しております。
保育士配置の件においては、行政改革の推進で職員削減が重要施策になっており、正職員の配置が難しい状況にあります。平成20年度において保育士数52名のうち所長及び主任保育士を除く、クラス配置の正職員が18名、臨時保育士が26名、平成27年度末までには19名の退職が予定されており、益々保育行政が厳しい状況になります。
(2)町立保育所の施設状況
4保育所とも下表のとおり全面改築及び施設修繕等を実施し、施設の維持を図っています。
保育所名 | 設置認可年月 | 現建物建築年月 | 築年 | 改築・修繕等 | 改築・修繕年月 |
---|---|---|---|---|---|
あずま保育所 | 昭和47年7月 | 昭和47年3月 | 36 | 拡張 | 平成12年3月 |
みなみ保育所 | 昭和51年4月 | 昭和51年3月 | 32 | 修繕 | 平成12年3月 |
中央保育所 | 昭和52年4月 | 平成9年3月 | 11 | 改築 | 平成9年3月 |
新城保育所 | 昭和48年5月 | 平成13年1月 | 7 | 改築 | 平成13年1月 |
※平成20年4月に民営化した保育所
保育所名 | 移管先法人 | 移管後保育園名 |
---|---|---|
北保育所 | やえせ福祉会 | やえせ北保育園 |
安里保育所 | 具志頭福祉会 | 第2ぐしかみ保育園 |
(3)町立保育所の運営経費
町立保育所の運営経費は、平成17年度決算で約4億1千万円、そのうち人件費は3億6千万円で、87%を占めています。児童一人あたりの運営費は年額約110万円、そのうち人件費は95万円となっています。
また、三位一体の改革に伴い平成16年度から運営費の国・県の負担義務の対象が、すべての保育所から民間保育所のみに特定され、町立保育所の運営費については交付税措置となり、町費負担割合が一層増加することになりました。
4.課題
(1)保育サービスの拡充
女性の社会進出や保護者の就労形態の多様化により、保育所での延長保育、一時保育、休日保育、病後児保育等の保育サービスの拡充が求められています。
(2)地域支援の充実
保育所は、子育ての専門機関として家庭保育を実施している保護者に対しての育児相談や育児情報の提供や園庭解放の充実が求められています。
(3)保育所運営経費の増大
平成17年度決算の一般会計歳出額(以下「歳出」という。)は約121億円、保育園費は約8億円で歳出に占める割合は約6%でしたが、保育サービスの拡充などにより平成19年度一般会計当初予算の歳出は約87億円、保育園費は約9億円で、歳出に占める割合は10.3%となっています。平成17年度と比較して歳出が約28%減少している中で、保育園費は約12.5%の増加となっており、今後も保育サービスの拡充及び老朽化している施設改築などに要する経費の大幅な増が見込まれます。
5.課題の解決に向けて
町では、平成17年3月に策定されました「東風平町次世代育成支援行動計画」「具志頭村次世代育成支援行動計画」に則って保育機能の充実に努めるなど、子どもを持つ家庭が安心して子育てができるよう各種施策を推進しております。しかしながら、今後なお一層の施策の推進をしていく上では最小の経費で最大の効果を上げる施策の展開が求められております。そのためには、町立保育所2園を民間事業者に移管し、民間活力の活用が必要です。
6.町立保育所の民営化
(1)民営化の計画(平成20年度~平成24年度計画)
町立保育所の民営化は、「八重瀬町集中改革プラン」の取組目標に則り平成20年4月に北保育所と安里保育所を民営化しました。あずま保育所・中央保育所については、平成22年4月に民営化します。また、みなみ保育所ついては平成24年4月に廃止します。但し、今後の待機児童の増加等見込めた場合においては民営化を検討していきます。※新城保育所については、子育て支援の先導的役割を担う拠点施設として引き続き公立保育所とします。
(2)民営化の方式
民営化の方式には、公設民営方式(町が設置して民間事業者に運営を委託する方式)と民設民営方式(民間事業者が設置して民間事業者が運営す方式)の二つがあります。公設民営方式は、委託先の団体と書面による協議が必要になるなど、委託先の団体の運営に制約を与えることになります。よって、民営化の方式は、保護者の要望に迅速に応えられ、民間ならではの柔軟性が発揮できる民設民営化方式とします。
(3)土地等の移管方法
ア 土地(町有地)については、有償貸付になります。
イ 建物(保育所敷地内構造物を含む)については、無償で譲渡します。
ウ 備品等は無償で譲渡します。
(4)移管先の選定
ア 選定方法
移管条件を提示して、企画提案方式(プロポーザル)により公募し、選考委員会で選考します。
イ 応募資格
八重瀬町内に存する社会福祉法人、八重瀬町内に住所を有している者で移管する期日までに社会福祉法人の認可を得て保育所の設立を希望する者、八重瀬町内に住所を有して他市町村で法人保育所を開設している社会福祉法人、その他これに相当すると認められる法人に対して行います。
ウ 選考委員会
学識経験者、福祉関係者、保護者代表等からなる選考委員会で選考します。
エ 選考基準
選考委員会で選考基準を定め、当該基準に基づき適合性を審査します適合性の審査は、書類審査、面接審査及び実地審査により行います。
(5)移管スケジュール
平成20年
7月~10月 民営化検討委員会(民営化計画等の方針決定)
11月 保護者等説明会
11月 基本方針(第2次)の発表(公表)
12月 民間移管法人等選考委員会
平成21年
1月 移管先法人公募(運営法人募集参加説明会)
2月 移管先法人選考(選考委員会)
3月 移管先法人決定(法人認可申請考慮)
4月~3月 運営法人への事務引継ぎ調整
12月 議案の提案
平成22年
2月~3月 合同保育平成22年
4月 民営化スタート