-序章
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序 章
(1)計画策定の背景
平成15年7月、小泉政権のもと、観光立国を実現する戦略の一つとして国土交
通省は「美しい国づくり政策大綱」を公表し、この大綱の中で国は、社会資本整備
や公共事業の名のもと多くの美しい風景を失わせたことを反省し、まず自ら襟を正
し、その上で官民挙げて魅力ある国づくりに向けて取り組む方向性を示すと同時に、
「景観に関する基本法制の制定」を具体的施策として明示しました。
これらを受けて、平成16年に景観に関する総合的な法律として「景観法」が制
定されました。
八重瀬町(以下「本町」という。
)は、平成18年1月1日に旧東風平町(那覇
広域都市計画区域内)と旧具志頭村(都市計画区域外)の合併により誕生し、町と
しての一体的なまちづくりを目指して、これまで様々な施策に取り組んできました。
本計画においては、町民及び事業者、行政との協働により、町民の共通の財産であ
る良好な景観、誇りや愛着のある景観を守り・育み、次世代へと引き継いでいくた
め、景観法第8条
※
に基づく景観計画を策定します。
(2)計画の目的
本町は、八重瀬岳や様々なグスクが形成する森(ムイ)などの豊かな自然や山
並みの景観、太平洋に面し、ダイナミックな地形をなす雄大な海岸・海浜景観、サ
トウキビ畑や菊畑などの農地景観、赤瓦屋根や石垣、屋敷林などが残る集落景観、
近年都市的な開発が進む市街地景観等、多様な景観を有しており、これらの景観を
守り、育て、創造し、町全体で魅力ある景観形成を図る必要があります。
本計画は、これらの景観特性、本町が目指すべき「将来像」及び「景観形成に
関する基本方針」等を示し、行政、事業者及び町民等の多様な主体が共通の景観形
成に関するビジョンを持ち、さらに「良好な景観形成のための行為の制限」等を定
めることにより、より実効性の高い景観形成を推進することを目的とします。
※景観法第8条
景観行政団体は、都市、農山漁村その他市街地又は集落を形成している地域及びこれと一体となって景観を形
成している地域における次の各号のいずれかに該当する土地(水面を含む。以下この項、第十一条及び第十四
条第二項において同じ。)の区域について、良好な景観の形成に関する計画(以下「景観計画」という。)を
定めることができる。
一 現にある良好な景観を保全する必要があると認められる土地の区域
二 地域の自然、歴史、文化等からみて、地域の特性にふさわしい良好な景観を形成する必要があると認めら
れる土地の区域
三 地域間の交流の拠点となる土地の区域であって、当該交流の促進に資する良好な景観を形成する必要があ
ると認められるもの
四 住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が行われ、又は行われた土地の区域
であって、新たに良好な景観を創出する必要があると認められるもの
五 地域の土地利用の動向等からみて、不良な景観が形成されるおそれがあると認められる土地の区域
1.計画策定の背景と目的